研究助成?研究員制度_2024年度
2024年度 研究助成決定者(個別研究?共同研究)
高校生や一般の方々にも研究内容をわかりやすく理解していただくためにあえて平易な書き方をしています。
所属 | 職名 | 氏名 | 研究課題 |
経済学部 | 教授
| 板井 広明
| 経済/経済学からの排除/包摂の再検討:食、女性、自然を手掛かりに![]() |
【概要】 経済の再生産は、日々人々がとり行なう採取、生産、流通、消費、廃棄の一連の過程が循環していることにありますが、そこから排除され、不可視可されてきたのが、市場の外部と位置づけられた自然(生態系)であり、女性の労働です。とりわけ生活全体にとって不可欠な女性の家事労働は無償労働、つまり対価が支払われることがない愛の労働と見なされ、価値を貶められてきました(一方で、食事作りや掃除を業者に頼むと料金がかかります)。この自然と女性という二つの排除されてきたものが食という領域でどのように交叉して現われているのかを検討するのが本研究の課題です。 | |||
経済学部 | 教授 |
小池 隆生 |
現代アメリカ大都市の貧困およびホームレス問題の実態に関する研究![]() ![]() ![]() |
【概要】 格差、不平等の拡大がグローバルに注目を集めています。富の一方での集中は、一握りの富裕層が保有する資産がそれ以外の人々の保有する資産合計をはるかに上回る事態として出現しています。そうした富の偏在は他方で貧困が偏在することと対の関係にあり、地域的に目に見える形でそうした貧困の「偏在」が顕われることがあります。本研究課題では先進国における大都市の貧困の偏在の現状とその意味するところを明らかにします。 | |||
経済学部 |
教授 |
恒木 健太郎
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「異端的」貨幣論の国際転位についての一研究:ヘンリ?ソーントンとヴェルナー?ゾンバルトの「為替手形」観を手掛かりに |
【概要】 これまで経済学の常識とされてきた貨幣に関する学説、すなわち貨幣は商品交換を起源とする、銀行預金が貸出に先行する、貨幣は経済の外から増減させうる、といった考え方に異論を唱える学説、すなわち貨幣は債務を起源とする、貸出が銀行預金に先行する、貨幣は経済の中で生成?消滅する、といった考え方が国際転位する過程を、イギリスのソーントンやマクラウドとドイツのゾンバルトとの関連を軸に、為替手形観の同型性に着目して検討します。 | |||
経済学部 |
教授 |
長尾 謙吉
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日本における地域格差の諸相と地理的多様性![]() ![]() ![]() |
【概要】 政府による「地方創生」や「デジタル田園都市国家構想」の取組みをはじめ、地域格差と地域活性化をめぐってはさまざまな視点から議論されています。地域格差の構図は、「三大都市圏と地方」から「東京大都市圏とその他」へと様相を強めてきました。所得をはじめ「水準」からみた地域格差は小さくなりました。一方で、東京大都市圏が「さまざまな仕事がある」ことをはじめ、就学や消費の多様な機会で卓越する傾向がみられます。その要因を地域データの分析と地域での実態調査から追跡します。 | |||
経済学部 |
教授 | 野部 公一 |
ソ連崩壊後のウクライナにおける農業生産構造の変容![]() |
【概要】 ウクライナは、とうもろこしおよび小麦の新興輸出国として世界的に注目されています。ただし、従来のウクライナ農業研究は、農産物貿易の動向と今後の予測を中心としたもので、ソ連崩壊後のウクライナ農業の生産動向およびその構造変化は十分に明らかにされてきませんでした。本研究は、こうした従来の研究における空白を埋め、ウクライナ農業の将来を考えるための基礎データを提供しようとする試みです。 | |||
経済学部 |
教授 | 森原 康仁 |
「地政学的緊張」下の国際生産――GSCの「統治」と主権国家の復権![]() ![]() ![]() ![]() |
【概要】 私の研究は、「地政学的緊張」などと形容される足元の米中対立を念頭に置きつつ、主に政府主導でグローバル?サプライチェーンの再編成が図られている現状について評価しようとするものです。具体的には、まず大国の政治対立によって越境経済活動が左右されている現実を整理し、そのうえで、そうした対立が最も影響しうる産業を特定します。そしてこれを踏まえたうえで、この種の産業において政府が主導してGSCの管理に乗り出している現実がもつ意味を考えます。そこでは、一見玉虫色で、明快さに欠けるアプローチ――グローバリゼーションを一応は前提しつつも、その統治において政府の役割を明示的に復権させること――を強いられている現状が浮き彫りとなります。 | |||
経済学部 | 教授 | 吉田 雅明 |
経済学史研究の批判的実在論的実践 |
【概要】 従来、経済学史研究上の1つの手法とみられてきた理論史研究を、批判的実在論の観点から、存在論+認識論の基礎付けの上に定置し、これを方法論のレベルで確立するという研究です。理論史研究が解明対象とする「実在」の性質、その解明のために整合的で適切な「方法」として、対象テクストの理論構造を浮かび上がらせる「論理発掘的方法」からさらに踏みこんで追究することにより、素朴な実証主義偏重の経済学史研究や経済学の在り方を考え直す方法論的基礎を整え、異端派の経済学研究が共有できる対話の通路構築を目指します。 | |||
法学部 |
教授 |
榎 透 |
米国におけるステイト?アクション法理の現況![]() |
【概要】 ステイト?アクション法理は、米国の裁判所で用いられている理論であり、日本の憲法学では私人間効力論(憲法上の人権規定を公権力にとどまらず、私人間にも効力を及ぼすか否かという議論)の分野で紹介されてきました。本研究は、2000年代以降の米国連邦最高裁判所の判決などステイト?アクション法理の現況を分析することで、ドイツ法を参照して通説?判例を形成してきた日本の理論にオルタナティブな枠組みを提供するために必要な材料を提示します。 | |||
法学部 |
教授 |
大井 万紀人 |
動的天体現象に対する観測手法の探求 |
【概要】 新しい天文現象は、最先端の宇宙望遠鏡を用いた観測よりも、ありふれた機材によるアマチュア観測で発見されることが意外に多いのですが、その最大の理由は、超新星爆発や隕石衝突などいつ起きるかわからない天体現象が存在するからです。このような予想不可能な天体現象のうち、短い継続時間で刻一刻と変化するものを「動的天体現象」といいます。たとえば、隕石落下などは数秒から数分、超新星爆発なら数ヶ月から1年程度といった時間間隔です。偶然に頼らず、このような天体現象を観測するにはどうすればよいか探求するのがこの研究です。 | |||
法学部 | 准教授 |
高橋 脩一 |
弁護士費用の敗訴者負担原則に関するイングランド判例の検討![]() |
【概要】 自らの権利が侵害されその救済を裁判所に訴えるとき、頼りになるのが弁護士です。けれども、弁護士に依頼するには費用がかかります。一体、弁護士費用は誰が負担すべきなのでしょうか。日本は自らが雇った弁護士の費用は自らが負担する各自負担原則を採っています。これに対して世界では、訴訟の敗訴者が勝訴者の弁護士費用も負担する敗訴者負担原則を採るところがあり、その代表がイングランドです。この研究ではイングランドの判例を考察することから、敗訴者負担原則が持つ利点や問題点について検討します。 | |||
法学部 | 准教授 | 高橋 脩一 |
紛争解決費用調達方法に関する包括的検討:コモン?ロー法域の考察から![]() |
【概要】 あなたの権利が侵害されたとき、あなたには裁判所にその救済を求める権利があります。しかし、いくら権利があってもそれを実現することができなければ、その権利は絵に描いた餅になってしまいます。そこで問題となるのが、弁護士を雇ったり、必要な書類を準備したりするために必要となる、裁判のための費用(=お金)です。この研究は、こうした紛争を解決するために必要となる費用をどのように調達しているのか、英国や米国、豪州やNZといった国々の状況について考察を行います。 | |||
経営学部 | 教授 | 植竹 朋文 |
ホテルを対象としたポストコロナにおけるレベニューマネジメントのあり方に関する研究![]() |
【概要】 近年の経営環境のめまぐるしい変化により消費者や従業員の意識が変容するとともに、生成AIなどのICTの発展に伴い重視すべき指標も変化してきているため、ホテルの客室の販売方法やその収益を最大化する方法(レベニューマネジメント)も以前とは異なったものになってきています。そこで本研究では、これからのホテルの客室の販売方法やレベニューマネジメントを考えていく上で何を考慮していけばいいのかを考察していくことを目的としています。 | |||
経営学部 | 教授 |
佐藤 康一郎 | |
大型住宅団地における食料品アクセス困難問題に関する研究![]() ![]() ![]() ![]() | |||
【概要】 近年、地元の商店街の衰退や顧客の健康上の理由などから、高齢者を中心に食料品の購入が困難な人が増えるという「食料品アクセス問題」が社会的な課題となっています。この課題は過疎地域に限らず、都市部のニュータウンや団地でも生じています。大規模なニュータウンや団地の居住者は多くの場合、入居当時は働き盛りの若い世代が中心でしたが、現在は一斉に高齢化を迎えています。その結果、大規模なニュータウンや団地においても食料品アクセス困難人口が増加しています。 | |||
経営学部 | 教授 |
間嶋 崇 |
「組織の中の障がい」に関する研究![]() ![]() |
【概要】 本研究は、障がいを持つ者(以下、障がい者)もそうでない者(以下、健常者)も同様に能力を発揮し、やりがいを持って共に協働を実現していくためにはどうしたらいいかを検討します。障がい者の就労に関する研究の多くは、経営者の視点から健常者の能力をベースに障がい者のマネジメントを検討する研究か、そこでの抑圧や孤立などを障害者の視点から批判的に検討する研究に二分されます。私の研究は、2つの先行研究を架橋するような第3の視点に立った研究ができればと考えています。 | |||
商学部 | 教授 | 石川 和男 |
過疎地における最寄品小売業?身近なサービス業の事業継続可能性に関する研究![]() |
【概要】 近年、人口減少の進む過疎地においては、食品を扱う小売業や理美容店をはじめとする事業者さえ、存在しない地域が増えてきました。また、これらを代替するサービス(ネット販売など)が提示されていますが、なかなか浸透しない状況です。そこで、これまで事業を継続してきた事業者が、売上が減少しても事業を継続できるような状況を醸成できることを中心として研究します。 | |||
商学部 |
教授 | 岡田 穣 |
持続可能な地域社会の形成に向けた連携に関する研究:地域の自然資源を活用した観光に着目して![]() ![]() ![]() ![]() |
【概要】 本研究は、地域社会の衰退が深刻化している日本の中山間地域および島嶼部での地域の自然資源に着目した観光を基軸とした持続可能な地域社会の形成に向けた企業?組織?地域のかかわりについて、SDGs活動の取り組みと自然観光資源との関わりの実態の把握や、観光を基軸とした連携に求められる要件や連携のプロセスについて考察?検討を行い、地域を活性化させる取り組みや地域間の差異、連携の現状や課題を把握します。 | |||
商学部 |
准教授 | 飯田 巳貴 |